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夏己はづき 「トモダチと××」


トモダチが化粧を直す 地下鉄の飛び込み防止ミラーの前で


新発売ファンデーションを塗りたくりダッチワイフのようなお肌だ


マニキュアが剥げかかってるのを見ても指摘しないよ トモダチだから


「白線の内へお上がりください」と[きゅるっきゅ] トモダチ [きゅるっきゅ] 笑う


血圧の上の値を教えあう 今日はわたしが90で勝ち


ウィダーinゼリー早飲み競争は圧倒的にトモダチ強し


「何かいいことないかなあ?」わかっててわかっててなお口癖である


自販機でボタンを2つ押してみてどっちでもない飲み物が出る


(空き缶を握りつぶして)たぶん今世界でいちばん暇なふたりだ


三越前スクランブル交差点の中心で二重飛びとかしたくて 若い


暇なのでパンをあげたよ公園の鳩にわたしにトモダチに鳩


「おとなにはなれない」というトモダチは虹を見つけることだけ上手い


あの雲を切り裂いてゆく飛行機と方角だけは同じ、歩こう


手に提げた黒トランクはボール紙製のうそもの 持ち主に似て


トランクの中身を前に見た時はティッシュの花が咲き乱れてた


電器屋のテレビは映す平等にどこかのテロとレッサーパンダを


こんなこと、こんなこと映したかったの? ブラウン管のブラウン博士


どうでもいいニュースにかぶるトモダチがサプリメントを噛み砕く音


赤ペンキぶち撒けたようなTシャツを着て雑踏に没するばかり


個性など信じてないよ わたしから帽子を取ればなにも無いから


2Bのシャーペンの芯が刺さった痕は輪廻転生後もあるでしょう


雨つぶのひとつひとつを数えては37粒目で駆け出した


ずぶ濡れは気持ちいいです トモダチはトモダチ用の傘があります


夕焼けに飲みこまれてゆく赤い髪赤いこころで立っていました


エレベーター内では息を止めているトモダチなのを実は知ってる


(空き瓶をぶわぶわ吹いて)たぶん今世界でいちばん   (真夜中のこと)


黒ばかり着るトモダチの穏やかな寝顔に「肉」とマジックで書く


屋上で逆立ちをする 朝焼けとわたしの影が空に吸われる


足跡を残さぬように走ってく 天末線スカイラインをかき鳴らすまで


トモダチの隙間に腕を突っこんで引きちぎっても青空だった


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